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封神演義『太公望という人物』

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ある種、完璧ともいえる、徹底された主人公キャラ


 ところで、
 封神演義という物語にはいくつかの種類があります。
 未だ草創期は謎が多いのですが、主に挙げるならば中国、
 明の時代に起こされた神怪小説である封神演義でしょう。

 封神演義は時代のさまざまな人によって描かれており、
 それだけの物語があります。基本は道教。
 中国における道教の民間知識はおおよそこの物語が基盤として
 浸透しているという声もあります。


 内容も物語によって全く違います。天界が黒幕に潜む封神演義。
 ひたすら恋愛ばっかりしてる封神演義。
 殺刧だから仕方ないと妖怪をやたらめったら殺して回る封神演義
 (これは殺刧の解釈についてひと悶着ありそうですが)などなど、
 創作がまた創作によって語り継がれ……そんな感じです。


 さて、その中で安能務氏という方がそれを大幅にアレンジして翻訳を図り、
 それをベースにまた大幅にアレンジして漫画に起こされたのが
 週刊少年ジャンプに掲載され大ヒットとなった『封神演義(藤崎竜)』。

 壮大なスケール。緻密に計算された展開と伏線。
 魅力的なキャラクター。

 全23巻という今でいえばそう多いわけでもない巻数でありながら、
 重厚なボリュームで読者を飽きさせないというところがスゴイ。


 その中で今回はその主人公。太公望について書きます。





【設定BGM:その時歴史が動いた.ピアノver】


『父上…母上…どうか安らかに…
 愚かな仙道達のせいで、民達が苦しんでおる。
 わしはそんな仙道達のおらぬ安全な人間界を作ろう。
 見ていてくだされ』


 第一話。
 殷王家の墓を前に太公望は父母へささやかな誓いを立てます。
 ここから太公望の壮絶な物語が幕を開けるのです。
 この殷王墓の棺中には、王と共に殉死させられた父と母が眠っています。
 太公望が仙人を志す契機となりえた証であるこの王墓こそが、
 彼が太公望としての、全ての始まりの場所だったのかもしれません。

 亡骸を見てもいない。今生の別れも不条理なものだったでしょう。
 他の想いを全て呑みこんで、彼はその魂を偲び、言葉を紡ぎます。


『わしとていつまでも弱いままではおらんよ』

 殷郊との戦い。
 太公望はその辛さを肚で押し殺し、彼を殺すことになります。

 以前見捨てないと決めて助けた彼を、太公望は自分の手で
 殺さなければならなくなりました。

 しかし、それは戦争の中で起こるもの。ある種仕方のないことです。
 どうしようもないことだったのです。
 殷郊の壮絶な想いを痛いほどに理解していた太公望だからこそ、
 太公望は彼の挑戦を受け止め、
 それに応えなければなりませんでした。


『どうせなら、でっかい味方をつくるのだ』

 また、太公望の面白い特徴として「強さを隠す」というものがあります。
 本気を出せば強いはずだが、いつも仲間に戦わせたり頼ったり、
 それで自分は弱いという風に見せている。

 それを看破している仲間もいますが、
 それで太公望が弱い弱いと仲間から誹りを受けることもしばしば。

 しかし、それでいいのだと太公望は考えるフシがあります。
 自分一人で出来ることは限られる。だったら一緒にやればいいじゃないか。
 そしてどうせなら味方は強くでっかい方がいい。

 色んなところに種を撒け。
 そして育てようじゃないか。
 もしかしたらダッキにズタボロにやられてから、
 それを悟ったのかもしれません。


 そしてそれこそが、仲間を活かすタイプの主人公として
 必要となる特性です。

 それを実践し、かつその要素が主人公を地味にせず、
 ありのままの主人公として受け入れられる精神性。
 そここそが太公望の主人公たる所以なのかなァとか思っています。


『わしはなんとしても、いかなる手を使ってでも、
 あやつを乗り越えねばならぬのだ』

 仙界大戦。
 壮絶な戦いが繰り広げられ、多くの魂魄が封神台へと封印され、
 歴史の表舞台から退場していきました。

 その最期の戦い。
 それが太公望と聞仲。

 小説版の小物臭は消え去り、絶大な強さを誇ります。
 それを一対一で相手して太公望に果たして勝機は。
 双方の疲労もおそらく限界に近い。

 しかし、太公望は勝たねばなりません。
 ここで勝ち、聞仲を斃すことでしか、
 仙界大戦を終わらせる方法はもうないからです。

 一度決意したものをやり遂げる意思の強さ。
 殷周易姓革命は十数年の歳月を要しました。
 優柔不断なように見えて、頑固なところは
 トコトン頑固です。


『女禍よ。最期にもう一度だけ聞く。もうやめぬか?』

 優しさ。
 敵であっても必要でなければ殺さない主義であると太公望は言います。
 その代わり殺さなければならない時は必ず殺すのが太公望です。

 ……まぁ、女禍はそもそも敵じゃないのかな。
 仲間ですよね伏儀にとって。

 やめることで後戻りがまだできる。ならば、可能ならば戦いは避けたい。
 それは確実にあったでしょう。
 ただ、女禍との戦いをやめてどうやって決着をつけるつもりだったんだろ。
 和平できたのか?地球から追い出すのかな?


『天祥よ。お主はなぜ、人間界に残ったのだ?』

 封神計画が終わってから数年後。
 周全体を巻き込む壮絶なハプニングの中で、天祥は伏儀、いや太公望と出会います。

 そしてふとこの話をしたのです。

 詳しい内容はぜひプレイしてから実際に見てほしいところ。
 歳月を経て、永い間仲間から離れていても、太公望は太公望として、
 仲間たちから受け入れられて叱咤激励されていました。

 太公望はいつまでたっても仲間に慕われていて、
 時にはからかわれる太公望でした。

どう考えても語りきれない…


  余談ですが封神演義はメディアミックスも特徴です。
 封神計画が始まる前から描いた「仙界伝」。
 そして封神計画が終わった後の大騒動を描く「仙界伝弐」。

  どちらも封神ファンなら絶対にプレイすべしという骨太RPGです。
 原作の雰囲気、そして小ネタをこれでもかと拾いまくる素晴らしいキャラゲー。
 ただ手に入るかなー。手にはいんねーだろうなー。ワンダースワンなんですよね。

  私は発売日に予約して買いましたがそれももう10数年前の話


  とまぁこんなところでしょうか。
 封神演義となるとノンストップで語れるから困らない。
 

 ゲームも必ずやるべし!……とかいう中の人ネタ

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by tuyuri_felnar | 2017-05-05 14:02 | ビデオゲーム紹介

漫画やビデオゲームのライティングや小説執筆等を中心に活動してます。


by ななくさ つゆり