若きアレディの悩み。修羅の未来とその形

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     燦然と輝く月を夜空に見据え


       思い悩む若き修羅










【設定BGM:ポケットモンスターED『そこに空があるから』】








アレディ「……」
零児「どうした、アレディ。月がそんなに珍しいか?」
アレディ「零児殿…」
零児「何か悩んでいるようだな」
アレディ「悩む…。或いはそうかもしれません」
小牟「人生相談が必要なら、いつでも請け負っちゃるぞ」
アレディ「……どうでしょう。そこまで至っているかはわかりませんが」
ハーケン「OK,シュラボーイ。焦る必要はないさ。
     悩みはひとまず棚に上げる。これも楽しい生き方だぜ」
アシェン「流石、出生の謎からして棚に上げて生き続けた男なだけはありまするな」
アレディ「……そうですね。いっそ、その方が楽なのかもしれません」
零児「……ヘイムレンとやらが言っていたことが、そんなに心に引っかかるのか」
アレディ「……!」
零児「なぜわかるのか、か。わかるさ。顔に書いてあるからな。
   どうやら修羅という種族は、隠しごとが苦手な連中らしい」
アレディ「そう、ですね……」

ハーケン「俺達、いやネージュ姫に会うまでは、今よりもパンチの効いたシュラだった。
     あいつはそう言っていたな。それについてか」
小牟「昔と今のギャップに苦しみながらも大学デビュー!と洒落こみたいかの?」
零児「茶化すな。つまりそのことについてなんだな」
アレディ「……ヘイムレンが言っていた事は事実です。おそらく、事実なのでしょう。
     自分でもわかっています。私はここにきてから明らかに覇気が弱くなった」
アクセル「そんな自分が嫌になったのかな」
アレディ「いえ……しかし、嘗ての自分、今の自分。確かに私の修羅としての覇気は……
     いや、だが……」
コウタ「うーん、どうにもいまいちピンとこねぇなぁ……」
アクセル「簡単さ。質問はシンプルだ。お前は今の自分が嫌かい?」
アレディ「……」

アレディ「私は今の自分を否定するつもりはありません。出来得るはずもない。
     なぜならこれまでの戦いは皆さんの力があってこそのこと。
     私一人では志半ばで果ていたことでしょう」
KOS-MOS「アレディ……」
アレディ「……別れの際、ヘイムレンは私をもう修羅ではないのかもしれないと言った。
     私はそれを否定します。私は修羅です。修羅として生きていきます。しかし、
     私が成したことは明らかに修羅の道から外れているのも、また事実…」
零児「…………」

零児「次元を超え、波国から離れ、むしろ修羅であることを辞めるというのなら、
   ネージュ姫との出会いは絶好の機会だったはずだ。
   しかし、お前は結局それをしなかった」
アレディ「……」
零児「お前は修羅でありながら、修羅の生き方から明らかにズレが出てきている。
   あのヘイムレンとか言う奴は、お前にそう言っているように俺には思えた」
アレディ「…その通りです。おそらく、それはヘイムレンが正しい。
     私は修羅でありながら修羅の生き方そのものを否定している。
     しかし、私は私自身が修羅でいることは否定しない。できない」
零児「……」
アレディ「私は修羅として相手の魔を撃ち滅する。そこには一片の迷いもありません。
     だがそれが螺旋を築き、何れかが撃滅されるまでの戦いへと繋がるとしたら…」
アクセル「……」
アレディ「拳を以て敵を砕く。それが次の戦を呼び、そしてそれをも砕く。それが修羅です。
     戦いを終わらせる為に戦っているのに、戦いを呼んでいるのは私自身なんです。
     それが、修羅の業とも言うべき因果、そして宿命なのでしょうか」
零児「…思考の袋小路だな。何をそんなに焦っているんだ?」


KOS-MOS「…アレディ」
アレディ「なんでしょう、KOS-MOS殿」
KOS-MOS「あなたは本当に自分が弱いと思いますか?」
アレディ「え…」
KOS-MOS「あなたは修羅として弱くなったと言いました。
        しかし、その弱さとはなんなのでしょう」
アレディ「それは、どういう…」
KOS-MOS「痛みを知る強さはないのですか。
         人の痛みに素知らぬふりをするのは強さですか?
         猛き肉体にそぐわぬ空の心。それは弱さではないのですか?」
アレディ「……KOS-MOS殿」
コウタ「だぁーッ、面倒くせぇ!」
アレディ「! コウタ殿」

コウタ「ウジウジ考えすぎなんだよお前は!
    ていうかお前の言ってることの半分も俺は理解できねぇ!」
小牟「馬鹿じゃのう」
零児「だが、いざという時に強いのはこういう馬鹿だ」
コウタ「ったく。俺のダチによ、フォルカっていう修羅がいる。
    そいつもお前みてぇにグチグチ悩みながら似たようなことを言ってやがったよ」
アレディ「そうなのですか。…私以外にもその様な修羅が」
コウタ「俺には修羅の連中がなんでそんなに深く考えてんのかわかんねぇ。
    だけど、修羅の連中がどんたけ戦いばかりの人生なのかは理解できる。
    命を懸ければ負けたら死ぬ。勝てば殺す。喩えそれが肉親でも、なんだろ」
アレディ「はい。それこそが修羅の本懐。」
コウタ「それをあいつは嫌ってた。なんで誰でもかれでも殺さなきゃならないんだってな。
    それで相手を活かしたら相手から恨まれたし、自分は格下げくらって散々だ」
アレディ「死を賭して戦うのなら死を以て終わらせる覚悟こそが修羅の礼儀。
     それは私も否定しません」
コウタ「そう。そこなんだよ!きっと修羅の悩みのキッカケっつーのは!
    修羅がそういう掟と風習ならそれはもう仕方ねぇ。
    だが、お前はそれでいいのか?それで満足か?後悔はないのか?」
アレディ「……」
コウタ「どっちが良いとか悪いとか、正しいとか間違いとかそういうことじゃねーんだ。
    今までが当たり前だった事を違うと思い始めて、それが止まらなくなるんだよ」
アルフィミィ「修羅のみなさんはピュアですのね」
零児「言ってみればな」
コウタ「多分だぞ!よくわかんねーけど!
    つまりお前の悩みはこのまま戦いを続けて自分が後悔しねーかってことじゃねぇか
    戦って戦い続けて!後ろを振り返ったら誰もいねぇ!それでいいのかってことだろ」
アシェン「そうなんですかい」
零児「まぁ、75点くらいの解答、だな」
アレディ「そう、ですね……そうなのでしょう。修羅が歩むべき新しい形。
      そのヒントが今コウタ殿の仰られた言葉の中にある気がします。
      そして、そのために私は……」
ハーケン「シュラボーイ。お前には素敵なマスターがいる。少々おてんばなお姫様もいる。
     素敵な環境じゃないか。お前はそれを大切にしたい。
     それだけで十分だとは思わないか」
アレディ「……。
     そうです。私はそれを護っていきたい。それは譲れない」
ハーケン「だろう?」
アレディ「……ふぅ、おかげで少しスッキリしました」
小牟「む、ちょっとだけ良いツラのなったの」
アレディ「はい。この拳を以て築ける関係は、戦い以外にもあるはずです。
     戦いは戦いを呼ぶ。だが、それを超えた先には必ず何かがある。
     私はそれを信じたい。ありがとうございます、コウタ殿」
コウタ「おう!ちったぁ肩の力抜けってこった!」
アクセル「それでいいんじゃんか。小難しく考えるから壁にブチあたっちまうのさ」
零児「思考に壁など無い方が良い。本来ならそんなものは無いのだろう。
   だが、人は時としてそれに納得できない。自分で壁を作ってしまうのさ」
ハーケン「OK。それはそれでその良し悪しもケースバイケースだ。
     だが、そのせいでお前が変に迷うなら、それは間違いなく不要なのさ」

アレディ「…私は、少々考えが凝り過ぎていただけなのでしょうか」
零児「それはわからん。俺達は修羅に対して余りにも知識も面識も足りない。
   それだけで判断は出来んさ」
アクセル「だけど、俺達はアレディに関しては多少なりとも知ってるつもりだぜぃ。
     アレディのな。たとえ修羅であってもなくても、だ」
小牟「それでもお主は修羅なのなら、まず変えるのは修羅の道そのもの。
    それが自由ってものよな」
KOS-MOS「自由……」
アレディ「ええ。修羅は変わる。変わっていくでしょう。
     私も、ヘイムレンも。彼らの中にもこの戦いを通して芽生えた何かがあるのです」
ハーケン「芽生えた何か…。なるほどな。だいたいわかるぜ。なんとなく、だがな」
アルフィミィ「どういうことですの?」
零児「言葉では説明しづらいものではある。
    だが、それは修羅の根底を揺るがす感情なのかもしれんな」
KOS-MOS「言葉では説明しづらい感情……」
アレディ「それを大切にしていきたい。そして、それを極めた暁には…私は……」
小牟「えらいッ!ワシは感心したぞい!」
アレディ「し、小牟殿…!?」
小牟「若いくせに将来をよく考える奴じゃ!お主にならネージュを頼める!
   娘を幸せにしてやってくれよん!」
アレディ「む、娘!?」
零児「適当なことを言うな」スパン
小牟「あひゃあッ」
アレディ「それにしても、ありがとうございます。
     自分の情けない未熟な内情を吐露する。無様を見せて申し訳ありません」
アクセル「いいってこった。むしろ良いものを見せてもらったぜ、これがな」
ハーケン「それが仲間さ」
コウタ「お、肩の力抜けたな!良い感じだぜアレディ」
アレディ「はい!これもみなさんのおかげです」
コウタ「かっかっか。俺に感謝しろよ!」


零児「……修羅の宿命を否定せず、修羅として戦い以外に生きる道を探す、か」
小牟「茨の道じゃのう」
零児「だが、これからの世界を作る奴らだ。これ以上の生き甲斐もないだろうさ」
小牟「にしても、すっかりワシらも成長を見守るポジションだのう」
零児「それをいうな。まだまだ俺達もこれからさ」







ムゲフロ新作はいつかなぁ…

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by tuyuri_felnar | 2014-10-24 00:50

漫画やビデオゲームのライティングや小説執筆等を中心に活動してます。


by ななくさ つゆり