遠巻きに眺めるよりも

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  むかし、共に歩んだ友達が


  ふとした時に訪ねてきたら








 依頼先での仕事を順調にこなし、
 その足でヴァルストークに戻るつもりでいたカズマ。
 航行も順調に、もう間もなく目視で自艦をとらえるところまで来ている。
 その時にふと、ごくごくありふれた輸送機とすれ違った。

 大した気を払うこともなく、そのままヴァルストークへと帰艦する。
 ささやかな凱旋だった。
 ヴァルホークを降りたカズマはぞんざいに機体のチェックだけを済ませて、
 疲れを残した体を引きずりながら自室へ歩きだす。
 その足取りは重い。





【設定BGM:封神演義 EDテーマ『friends』】
もう何百回聞いたことだろう








ミヒロ「あ、おかえりお兄ちゃん」
カズマ「おう。ただいまミヒロ」
ミヒロ「…さっきまで友達が来てたんだよ」
カズマ「友達?俺に?」
ミヒロ「うん。お兄ちゃんに会いに来たって言ってた。
    今出かけてますっていったら少し肩を落として出てったよ」
カズマ「マジか。一体だれが?」
ミヒロ「うーんとね、ないしょ。誰だと思う?」
カズマ「誰って……。
    こんな辺境の非公式コロニーに来る人間なんてまともじゃないぞ」
ミヒロ「あ、ひどーい。私達のホームなのに」
カズマ「実際そうだろ」
ミヒロ「ふぅーん」



デュオ『カズマは留守なんだってな。忙しいときに来ちゃったかな』
ミヒロ『いいえ。お久しぶりですね、デュオさん。
    また会えてうれしいです』
デュオ『ああ。ミヒロもちっとは背が伸びたみたいだな』
ミヒロ『はい。ヒルデさんはお元気ですか』
デュオ『元気も元気。
    あいつぁ俺の尻ひっぱたいて死ぬまで働かす気だぜありゃ』
ミヒロ『あはは。でもお似合いの二人だと思います』
デュオ『だといいけどな。ミヒロもそろそろ恋するお年頃か?』
ミヒロ『え、い、いやいや、私はまだ全然そんな…』
デュオ『もうそろそろ頃合いだと思うけどな。
    家庭の事情で出会いは少ないだろうけど』
ミヒロ『わかんないですそんなの』
デュオ『いつまでもお兄ちゃんのお嫁さんを
    夢見るわけにはいかないぜぇ』
ミヒロ『知りません!そんなの!』
デュオ『あはは。やっぱまだ早いか』




カズマ「デュオが来てたのかよ!」
ミヒロ「うん」
カズマ「ちくしょー。なんで仕事行ってたかなぁ俺。
    にしてもあいつもあいつだぜ。
    事前に連絡くらいよこせよな」
ミヒロ「きっと、したくなかったんじゃないかな」
カズマ「あ、なんで?」
ミヒロ「なんでって……そういう気分って、あると思う」
カズマ「どんな気分?」
ミヒロ「……会えるなら会ってもいいけど、
    なんだか会いたくもない気分」
カズマ「なんだそりゃ」



ミヒロ『そういえば、お兄ちゃんに会いに来たんですか?』
デュオ『……まぁな。仕事で近くを通ったからよ。ふらっとな』
ミヒロ『お兄ちゃんにまだ友達がいたなんてビックリ』
デュオ『おいおい。
    自分の兄ちゃんを嫌われもんみたいに言うなよ』
ミヒロ『だってうちには全然人が来ないし…』
デュオ『ここは個人が居住する程度の規模の非公式コロニーだからなぁ。
    ……実はな、俺は何度か、お前ん家の近くを通ってたんだ。
    何度か訪ねようと思ったこともある。結局行かなかったけどな』
ミヒロ『いつでも歓迎ですよ』
デュオ『ありがとよ。だけど、やっぱ仕事は仕事だからな。
    あんまりサボってばっかでもいられねんだ、これが』
ミヒロ『そういえば、いま何をしてるんですか?』
デュオ『そうだなぁ……。
    強いて言うなら、ジャンク屋と死神の真似事、かな』
ミヒロ『 ? 』
デュオ『ああ。ミヒロにはそんくらいの理解がちょうどいいさ。
    戦いが終わって、ノイ・ヴェルターが解散した。
    戦いもひと段落して、
    俺達もちょっと刺激的なだけの日常に戻りつつある』
ミヒロ『はい。うちも今は倒産の危機との戦いです』
デュオ『ま、俺もかわんねぇよ。
    死神の廃業届を出したいところなんだけど、
    物騒な世の中も変わらねぇ。しばらくは忙しいぜ』
ミヒロ『そうですか』
デュオ『だから、遠巻きにお前んところの戦艦を見て、
    ただ通り過ぎるだけだった頃は、
    戦いから解放されたお前達に俺みたいな死神が
    ホイホイ近づくわけにはいかない、
    とかくだらないことを考えていたのさ。
    昔の、今のダチに会い行くだけなのによ』


カズマ「難しく考える奴だな。デュオにも悩みがあったのか」
ミヒロ「お兄ちゃんよりはずっと多いよきっと」
カズマ「ぐぐっ」


ミヒロ『そんなの関係ないですよ。デュオさんはデュオさん。
    笑顔が素敵なデュオさん。だからいつでも遊びに来て下さい』
デュオ『そう言われるだけで救われる。ま、次はカズマとサシで話すさ。
    ……恥ずかしい話、俺もトモダチってのが少ないんだよ』
ミヒロ『そうなんですか?』
デュオ『あぁ、実はな。死神のつらいところだな。
    これ、カズマには内緒な』
ミヒロ『はい。じゃあ次に来た時は事前に連絡を下さい。
    お兄ちゃんを捕まえときますから』
デュオ『ああ、わかったよ。今度は話すさ。つもりにつもった、バカな話をな』
ミヒロ『はい!…私はちゃんと覚えてるんですよ。
    ノイ・ヴェルターの頃だけじゃありません
    デュオさんは、初めて会った時からお兄ちゃんと
    とても仲良くしてくれましたから』
デュオ『ま、それなりにさ』
ミヒロ『だから、だからかもしれませんけど、
    デュオさんの様な明るくてみんなに元気をくれる人が
    うちに遊びに来てくれたら、私はそれだけで嬉しいですよ』
デュオ『そうか。まったく、ミヒロの優しさには涙が出るぜ』
ミヒロ『でも、本心ですから。いつでもお兄ちゃんに会いに来てください。
    そしてこれからもずっとお兄ちゃんのお友達でいてあげてください』
デュオ『だな。サンキュな、ミヒロ。元気が出たぜ』
ミヒロ『どういたしまして。なによりです』
デュオ『ま、しっかり者の妹を持ってカズマは幸せ者だ。
    だらしないお兄ちゃんにならないよう、
    しっかり指導してやんな』
ミヒロ『もう手遅れかもしれませんけど』
デュオ『ははっ、かもな。じゃあまた来るぜ。お邪魔しました。
    あの馬鹿によろしくな』
ミヒロ『はい』


カズマ「馬鹿ってなんだ馬鹿って!あの野郎、次来たらぶっ飛ばしてやる!」
ミヒロ「……」
カズマ「どした?ミヒロ」
ミヒロ「そんなこと言ってる内は、
    ずっとからかわれるんじゃないの」
カズマ「どういうこった?」
ミヒロ「うーん、なんにもない」




Wが参戦する度にデュオが撃墜トップに躍り出て困ります。
封印しようと努力しても気が付いたら前線で踊りまくってるから困ります。第二次Zでも異様に使いやすかった。

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by tuyuri_felnar | 2011-06-24 20:50

漫画やビデオゲームのライティングや小説執筆等を中心に活動してます。


by ななくさ つゆり