夕陽と風と金木犀

b0218972_2473933.jpgb0218972_1314434.jpg



    秋の風に香りを乗せて

     芳しきかな金木犀


艦を陸に落ちつけたクロガネから
ジョッシュとリムとレーツェルさん








リム「気持ちいいねー。風」
ジョッシュ「そうだな」
レーツェル「風を浴びるのもいいが、それで風邪をひかぬようにな」
リム「はーい」
ジョッシュ「ちゃんと言うことを聞いて、寝る時は暖かくして寝るんだぞ」
リム「もう、子どもじゃあるまいし。――あれ?ふんふん」
ジョッシュ「どうした」
リム「ふんふん……。ううん。なんだか、良い香りだなって思って。どこからだろ」
レーツェル「ほう。気付いたかね」
リム「あ、わかります?どこから薫ってるんですか?コレ」
レーツェル「どこからではない。風に乗ってきているのだよ」
リム「風に?」
ジョッシュ「それって多分だけど、金木犀ってやつじゃないかな」





【設定BGM:池田綾子 『こころたび』】
サムネイルはカモミール(カミツレ)です。
以前作業用にティーパックとブドウ糖を大人買いした時にカモミールティーも買ったのですが、なんかこう、どえらい味でした。








リム「金木犀って言うんだ。良い匂い」
ジョッシュ「らしい」
レーツェル「ああ、金木犀だ。よく知っているな」
リム「何で知っているの?」
ジョッシュ「聞いたんだよ」
リム「どこで」
ジョッシュ「どこかで」
レーツェル「日本の秋の風物詩だな。この国の様々な場所に植えてある。
      だからこの国にいるだけで、風に乗る金木犀の香りを感じることが出来る」
リム「へぇ、日本っていいかも。……鼻つまんで、どうしたの?」
ジョッシュ「オレは、どうにもこの匂いが芳香剤みたいに思えて…」
リム「えー」
レーツェル「まぁ、そういう感想もあるだろう。
      世界的にも香り高い木で知られている品種でもある」
リム「へー。でも、あたしは知らないです」
ジョッシュ「南極にはないからな」
リム「うん。南極で外の香りを楽しむっていうのはちょっと難しいよね」


レーツェル「それでだ。ちょっと変わり種だが面白いものがあるぞ」
リム「おもしろいもの?」
レーツェル「ああ。この缶にあるしなびた葛を何だと君たちは思うかね?」
リム「これは見事にしなびてますね……」
ジョッシュ「いや、茶葉ですよね。品種はわかりませんけど」
レーツェル「ああ。その通りだ」
ジョッシュ「さすがに判ります」
レーツェル「そして、これは花茶という」
ジョッシュ「花茶、ですか」
リム「お花のお茶?」
レーツェル「ああ。花を添えて香りを出すもの。花そのものを使うもの様々だが、
      それでこれは金木犀を使った花茶だ。これを淹れてあげよう」
ジョッシュ「そんなものがあるんですか」
レーツェル「源流は中国だ。茶葉を使い、金木犀の花を添えて香り高さを演出する。
      これを佳花茶という」
ジョッシュ「へぇ、お茶に花を」
リム「おしゃれなお茶ですね。女の子向きかも」
レーツェル「これも永き伝統の産物だ。味わってみるといい。
      ここにユウキがいないのが悔やまれるかな」
ジョッシュ「何故です?」
レーツェル「これは紅茶ではないが、彼が興味を持つ気がするからな」
リム「へぇ。ユウキさんとは趣味が合いそう!」
ジョッシュ「…………どうかな」
リム「え?」
レーツェル「ちなみに、花茶はピンイン(中国読み)で『huacha(ホァチャア)』と読む」
ジョッシュ「なるほど」
リム「ああ、知ってます!」
ジョッシュ「なんだって?」
レーツェル「ほう」
リム「昔映像メディアで見たことがあります!有名な格闘映画とかのアレですよね!
   ほら、こうやって『ホアチャア!!』とか叫んで盛大な蹴りを……」
ジョッシュ「…………」
リム「…アレ?間違ってる?」
ジョッシュ「いや、ああ。わかるよ」
リム「ひょっとして、滑った?」
ジョッシュ「いや、おそらく大丈夫」
リム「……今になって、ちょっと恥ずかしくなってきたかも」
レーツェル「まぁ、誰しも一度はそれを想像する。安心したまえ」




リム「あ、おいしい!」
ジョッシュ「味はいいけど、香りがすごいな」
リム「ええ、これくらいがちょうどいいよ」
ジョッシュ「そうなのか…?」
レーツェル「まぁ、個人差はあって当然だ。ゆっくり味わうといい」



レーツェル「…………」
リム「 ? 」
レーツェル「お味はどうかね」
リム「あ、お茶美味しいです」
レーツェル「それはなによりだ」
ジョッシュ「どうしたんですか?オレの顔に何か?」
レーツェル「フ。いや、別に大したことではない」
リム「そう言われると気になっちゃいます」
レーツェル「本当に些細なことだ。
       そうして夕陽を受け佇む君達は、実に年相応の少年少女にみえた。
       ふと、そんなことを考えてしまったのだよ」
ジョッシュ「それは、オレ達がロボットに乗って戦ってるとは思えない位って事ですか」
レーツェル「深い意味はない。気に障ったのなら謝ろう」
ジョッシュ「……いえ。でも、関係ないですよ」
リム「うん」
ジョッシュ「ロボットに乗っていようとそうでなかろうと。
       戦いに身を投じていようとそうでなかろうと」
リム「そうそう」
ジョッシュ「それでもオレ達は、年相応な普通の人間。それでいいんです」
レーツェル「ああ。そうだな」

レーツェル「……まったくもって、その通りだ」




さて、第二次OG発売日はいつ発表されるのか…
[PR]
by tuyuri_felnar | 2011-09-27 20:50

漫画やビデオゲームのライティングや小説執筆等を中心に活動してます。


by ななくさ つゆり