魂の呼び声

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      ”魂の剣”

    実に力強い言葉です







アル=ヴァン「貴公、確かゼンガーと言ったな」
ゼンガー「うむ」
アル=ヴァン「あの巨大な剣。あれは貴公の得物か。見事な剣だ」
ゼンガー「ああ。あれは斬艦刀。我が魂の剣だ」
アル=ヴァン「魂……。成程。威容、風格、威圧感。そして破壊力。
      どれをとっても強烈なものだ。だがそれも、魂の籠る力ならば合点もいく」
ゼンガー「……」
アル=ヴァン「非常に強力であり、そして非常に重みのある力だな……」
ゼンガー「――ああ」



【設定BGM ルパン三世-カリオストロの城-より『炎のたからもの』】







ゼンガー「……」
レーツェル「友よ。機体の調子はどうだ」
ゼンガー「問題はない」
レーツェル「格納庫は冷える。気分が落ち着かないのなら、お茶でも一服したらどうかね」
ゼンガー「慣れている。気遣いかたじけない」


レーツェル「――トウマが」
ゼンガー「トウマがどうかしたか」
レーツェル「訓練の後、未だ君に習う事も多いとこぼしていた。彼もまた逞しくなったが、
       本人はまだ自分に満足をしていないようだ」
ゼンガー「……それは何よりだ」
レーツェル「ふむ」
ゼンガー「精進とは己への渇き、望み、意志。それらを以て自力で進むこと。
      飽くまでも、自身の渇望に貪欲でなければならぬ。
      満足していては先に進めない」
レーツェル「成程。筋が通っている」
ゼンガー「トウマも、自身の現状に満足せず、修練を積めているのならば、
      今はそれ自体に言うことはないのだろうな」
レーツェル「確かに、彼の将来もまたこれからだ。
       良い師を持てて彼も幸せ者だな」
ゼンガー「それも、奴が自身で決めることだ。
      真っ直ぐ、曲がる事無く道を邁進するのならば、道はいずれ見えてこよう」
レーツェル「あの斬艦刀の様にか」
ゼンガー「……わからん」
レーツェル「……ゼンガー?」


ゼンガー「俺もまた、己を突き詰める道を往く途中に過ぎん。
      あの斬艦刀と共にこれからも歩んでいく事で、己を見つめていくまでだ」
レーツェル「そうか。あの、猛き剣と共に」
ゼンガー「ああ」
レーツェル「斬艦刀とは、君にとって何かね?」
ゼンガー「……」

ゼンガー「斬艦刀とは、悪を断つ剣。我が魂の宿る強大な剣」
レーツェル「……もうだいぶ長い付き合いとなるな」
ゼンガー「もう何度この刀と共に硝煙弾雨の中を駆け抜けてきたことか。
     その中で得たものもあれば、失ったものもある」


ゼンガー「この力は非常に強大なのだ。
     この得物の持つ圧倒的な力は、時に戦慄すべきものがある。
     そうして、自らを御しきれず、剣を置く事を考えたこともあった」
レーツェル「ほう」
ゼンガー「未熟なままに剣を振るえば、味方を、そして自分自身を斬ってしまう。
     そこで穿たれる穴は身体だけでなく、心までも蝕んでいく。
     その力に対する恐怖、畏れと言ってもいい。
     それは、生半可な覚悟で制する事が出来るものではない」
レーツェル「相当な、修練を積んだのだな」
ゼンガー「ああ。そして、戦う方法は何もひとつではない。
      刀を置くという選択肢も、当然過去の俺の中にはあった筈」
レーツェル「……」
ゼンガー「だが、置こうとする度に斬艦刀が俺を呼ぶのだ」
レーツェル「剣が――呼ぶ」
ゼンガー「ああ。迎え撃つ敵の鉄と血を欲するか。それとも、我が魂を蝕むか。
      いずれにせよ、俺は斬艦刀を置くことが出来なかった」
レーツェル「それは刀の意思か……。それとも、君の奥底に眠る願望か」
ゼンガー「さぁな。今の俺の未熟な腕では、斬艦刀の煌めきが何を欲しているか。
     それを見極める事も出来ない」

ゼンガー「だが、いずれは……」
レーツェル「雲耀の域に辿りついても尚、斬艦刀は君の魂を欲しているのか」
ゼンガー「ああ。俺も斬艦刀も、求める道がまだ続いている」
レーツェル「雲耀――つまり、稲妻の速さにも先んずる境地がある、と」
ゼンガー「わからん。だが……」



ゼンガー「この斬艦刀と共に行きつく先。それを見極める時が来るまで、
     俺は止まる事を許されぬ」







レーツェル「時に友よ」
ゼンガー「何だ」
レーツェル「もし、その雲耀の遥か先にある境地。そこに至る事が出来た時。
       君は何を斬るかな」
ゼンガー「……そうだな、いずれは」
レーツェル「余りに雲の上の話で見当がつかないか?」
ゼンガー「星を薙ぐ。とは、どうだろうか」
レーツェル「……なるほど。それも良い」

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by tuyuri_felnar | 2011-12-07 01:27

漫画やビデオゲームのライティングや小説執筆等を中心に活動してます。


by ななくさ つゆり