いつか。自分もあそこにいたはずだった

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 「遥か」とまでは言えない昔

  それは確かにあったこと









タスク「平和だねぇ~。たまには平日でもゆっくり休んでいいよな」
ブリッド「穏やかだな。天気もいいし」
クスハ「あれ?」
ブリッド「どうしたの」
クスハ「歌が聞こえない?それも、なんだか懐かしい感じ」





【設定BGM:合唱曲 『COSMOS』】
「みんな命を燃やすんだ」って熱い歌詞ですね







リョウト「本当だ。少し遠いけど、確かに聞こえるね」
クスハ「ね?ね?なんだか懐かしい感じがしない?」
リョウト「うん。歌の授業、みたいな」
クスハ「そうそう」
タスク「近くに学校があるんだってよ。こりゃ授業の合唱だな」
リオ「へぇ」
クスハ「そうなんだ。懐かしいね」
リョウト「そうだね」
タスク「歌にあんま良い思い出はないけどなぁ。俺はいつも怒られてばっかだったぜ。
    『男子ちゃんと歌ってー』ってよ」
クスハ「ああ、言った言った」
レオナ「楽しそうな学校ね」
タスク「いやいや、男子は結構恥ずかしいもんでさ、人前で歌うのに慣れてないし、
    とにかく歌が下手くそだかんな」
リョウト「ははは……そうだね。妙に気恥かしくて」
クスハ「コロニーのスクールでは歌の授業とかなかったの?」
レオナ「エリアによると思うわ。
    私のところでは、歌や演奏自体が好きなひとが多くて、
    だから授業のあるなしに関係なく、誰かが歌い出したら誰かがそれにつられて……
    それで気が付いたらクラスがジュークボックスになっていたの」
タスク「わーお。グローバルな感じ」
クスハ「それって、きっとすごい素敵なんだろうね」
レオナ「そうね。それはとても素敵なひとときだったわ」
リョウト「へぇ、じゃあその時はレオナも一緒に歌とか……」
レオナ「え、ええ。まぁね」
リョウト「そうなんだ。ぜひ一度聞いてみたい……」
タスク「ちょっちょっちょっ、リョウトくん!」
リョウト「どうしたの、タスク。……やけに汗ばんでるけど」
タスク(レオナちゃんに歌の話はご勘弁!)ヒソヒソ
リョウト(どうしてさ)
タスク(……お察しください)
リョウト(あー……そうなんだね)
レオナ「どうしたの。私がどうかした?」
タスク「い、いやいやいや!」
リョウト「な、なんにもないよ。なんにも」
タスク「ととと、ところでブ、ブリッドは下手だよな。歌」
ブリッド「うっ。ま、まぁあんまり得意じゃないけど……」
クスハ「でも、授業とかじゃ上手い下手は関係ないと思うよ。
    楽しく歌えればそれで……。そうすれば、今みたいに歌声がここまで響くもの」
リョウト「確かに、こうして聞くとすごい懐かしい感じだね。
     僕もこんな歌を授業で歌ったと思う」
クスハ「うん」
リョウト「……」
リオ「どうしたの?リョウトくん」
リョウト「うん?いや、ちょっと、思い出しただけだよ」
リオ「昔の話?」
リョウト「ていうか、よく考えるとまだ割と最近なんだけど、
     まだ、僕が学校に通っていた頃のこと」
タスク「おう、俺も思い出すぜ。
    『はぁるの~うららの~す~み~だ~がわ~♪』ってな」
リョウト「そんな歌もあったね。僕はただ真面目なだけだったから、歌も下手だし、
     成績もそんなに優秀じゃなかったんだけど」
レオナ「あら、そうだったの?謙遜ではなくて?」
リョウト「はは……どうかな。
     だけど、そんなに昔のことじゃないはずなのに、今はこんな些細なことでも、
     すごく懐かしく感じる」
クスハ「そうね。もう随分昔のことのよう」
タスク「ま、こういう仕事してんだもんなぁ。そりゃ価値観も生活観も変わるからな」
レオナ「確かにそうね。昔の感覚のまま、今の仕事は出来ないわ」
ブリッド「ああ。結局昔は昔。確かに懐かしくはあるけれど」
タスク「あんまりこういうことばっか考えていると、深みにはまって抜けられなくなるぜ」
リョウト「とどのつまり、そういうことだよね。でも……」
リオ「でも?」
リョウト「あはは。僕ってまだ大人ってわけでもないからさ。
     なんでもかんでも終わったことだからって割切るのも、難しいんだ」
リオ「リョウトくん」
レオナ「……気持ちはわかるわ」
クスハ「うん」
タスク「まぁなぁ」
リョウト「うーん、みんなの中で僕が一番メンタルが弱いのかなぁ。
     いちいち立ち止まって、悩んでしまう僕自身が嫌になるよ」
クスハ「そうかな……」
リオ「そうね。……そういうところ、あるかも。リョウトくんって」
レオナ「あら、手厳しいのね」
リオ「ううん。それに、リョウトくんはそれで良いと思うわ。
   だって、そっちの方がよっぽどリョウトくん『らしい』もの」
リョウト「そうかな。でも」
タスク「ま、ま。黙って貰って胸にしまっておけよ。せっかくのフォローなんだからよ!」
ブリッド「そうそう。あまり深く考えても仕方ないさ」
リョウト「そ、そうかな。……まぁ、そうかもね」
クスハ「クス……」
レオナ「これで一件落着ね」


タスク「それによ……」
クスハ「なぁに?」
タスク「一度吹っ切れたら、一番おっかないのはリョウトだと思うぜ。俺的に」
リョウト「えぇ?それはどうかなぁ」
リオ「……そうね。思い当たる節もあるし」
リョウト「えっ」
クスハ「そうなの?」
レオナ「初耳だわ。どんな感じなのかしら?」
リオ「ちょっと、びっくりするけどかっこいい感じ」
タスク「おぉ!?」
クスハ「へぇ」
リョウト「ウソだよそんなの」
リオ「あら、ホントよ。今でも覚えてるわ」
リョウト「どうかなぁ。でも……」
タスク「まぁまぁ。せっかくかっこいいって言ってくれてんだから」
ブリッド「そうそう。おとなしく褒められておこうよ」
リョウト「ほめられてるのかなぁコレ……。まぁいっか」




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by tuyuri_felnar | 2012-05-07 10:30

漫画やビデオゲームのライティングや小説執筆等を中心に活動してます。


by ななくさ つゆり